グラフ電卓の授業での利用例

in [数ナビの部屋]

数式処理のできるグラフ電卓を、数学の授業の中でどのように利用すべきかの具体例を紹介します。

グラフ電卓を活用して数学ロードを駆け抜けよう!

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■ グラフ電卓の授業での具体的な利用例  [Map]


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[御案内] ここでは,グラフ電卓を実際の授業でどのように利用したのか, 10年以上も前の実践になりますが具体的な教材例を紹介します。 本校や他校での実践例から、 TI-89/TI-92Plus についての使用例をまとめてみました。

私見では、数ナビの利用法として、 次の4つの利用の仕方があるでしょう。
  • 問題の答え合わせとしての利用
  • 数学的性質を理解させるための利用
  • 数学的性質を発見させるための利用
  • 数学的思考を援助するための利用
この中で、最も単純なのは「問題の答え合わせ」としての利用 です。この利用法は、決して軽く考えられるべきではありません。 「数学が分からない」者にとっては、 これは「天の救い」ともいえるほどの威力を発揮するでしょう。 計算が合わない場合は、誤っている箇所の発見が容易になります。 また、解答が分かることは、解き方を考える上でのヒントにもなります。 たとえば、本校で平成13年度に関数教育で使用したときの 学生の感想 [PDF] をご覧ください。 数学が分かるようになるためのツールとして、 成績下位の者ほど使用頻度が高いという結果が出ています。 なお、このファイルを文章化したものは こちら[PDF]です。

「数学的思考を援助するための利用」では、 海洋中等教育学校に勤務されていた 公庄庸三先生の授業が最も進んでおり、 生徒は「数学そのもの」を自由に楽しんでいます。前任校の私立清風高校で 「数ナビ」(TI-92)を2年間長期貸与したときの 「 教材集」や、その授業を受けた 「生徒の感想」を是非ご覧ください。 数ナビ長期貸与の威力を垣間見ることができるでしょう。

数学的思考を援助するための利用としては、 数学的性質を見いださせる「自由研究」が有効です。 数ナビの機能を利用することで、数学の成績が下位にあったり、 数学を苦手とする学生であっても、 何らかの性質を見いださせることができます。 たとえば、下記を参照してください。
著者の退職にあたり、勤務校での主な実践結果を 取りまとめて「数学教育におけるグラフ電卓の活用」と題して 自費出版した書籍があります。その内容は本サイトで Web公開しているので参考にしていただければ幸いです。

以下は、「数ナビを通常の授業の中でどのように組み入れるべきか」という 観点から、通常の授業の中で「生徒の理解を深めさせるための利用」と、 教師が説明してきた数学的性質を「生徒に発見させるための利用」について、 本校や他校の実践例を紹介するものです。 グラフ電卓に関する研究大会である T3Japan の年会での発表からも紹介しています。 各年度ごとに大会の内容をまとめた冊子がありますので、 必要な方は T3事務局 にお問合わせください。

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■ 数と式
文字式の展開(パスカルの三角形) [PDF]
パスカルの三角形は、 (a+b)^n の展開式の係数の間の規則性を示すものです。 通常は、n=1,2,3 の場合を黒板で説明して、 そこから一気に「一般に」という前置きをして教師が結論を 述べるのが普通と思われます。 しかし、数ナビの数式処理機能を利用させると、 n=4 以降の場合についても、その係数を生徒に書き出させて、 係数の間の規則性を考察させることが可能になります。 教師が説明すべきことは、学生がすべて発見してしまいます。
ーT3Japan 第6回年会,TI-89を用いた探究活動,阿蘇和寿(石川高専),平成14年8月ー

文字式(x^n-1)の因数分解 [PDF]
x^n-1 の因数分解は、通常はn=2,3,4 程度で行われるのが普通でしょう。 しかし、数ナビの数式処理機能を利用させると、 指数nが100を越える場合についても、 その因数分解を表示させることができます。 そして、それらを書き出させて、 指数n と因数分解された式の形との関連性について 考察させることが可能になります。 その考察では、相当高度のところまで指摘されています。
ー公庄庸三数学教育研究所、topic30ー

文字式(x^4+nx^2+1)の因数分解 [PDF]
文字式x^4+x^2+1 は、多少の変形で因数分解できます。 では、x^4+nx+1 が整数係数の範囲で因数分解できるのは、 n がどのような場合でしょうか。 数ナビの数式処理機能を利用した試行錯誤からnの一般的な値を推測させ、 その証明を考えさせることができます
ーT3Japan 第6回年会, TI-89を使った探究課題,長水壽寛(福井高専),平成14年8月ー

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■ 関数
関数のグラフ描画 [PDF]
TI-89を利用した関数のグラフ描画で、 グラフに関してどのような理解を得させることができるかについて 紹介されています。
ーT3Japan 第5回年会,TI-89を利用した関数のグラフ描画,梅野善雄(一関高専),平成13年ー

2次関数・3次関数の探究 [PDF]
2次関数や3次関数のグラフと係数との関係について、 TI-89を利用して考察させたときの学生のレポートが紹介されています。
ーT3Japan 第6回年会,TI-89を用いた探究活動,阿蘇和寿(石川高専),平成14年8月ー

グラフ電卓を用いた曲線の探求 [PDF]
グラフ電卓を利用して2次曲線のグラフを表示させて、 その係数とグラフの形状との関係について考察させています。
ーT3Japan 第6回年会,片岡啓(上宮高校),平成14年8月ー

絶対値関数のグラフ [PDF]
絶対値関数は、なかなか学生の理解の得られにくいところです。 いろいろなグラフを絶対値関数で表す課題に生徒が挑戦しています。 ただし、この課題を課すには、 ある程度のことを自分で描ける状態にあることが前提でしょう。
ー公庄庸三数学教育研究所、topic30ー

指数関数のグラフ [PDF]
指数関数y=a^x のグラフと、2次関数y=x^2 のグラフとの交点に ついて考察させるなかで、指数関数の増加のレベルについて 理解を深めさせることができるでしょう。 それらが接するときのaの値や、 そのときの接点の座標を調べさせると、 さらに深い内容が見えてきます。
ー公庄庸三数学教育研究所、topic30ー


媒介変数表示された関数のグラフ [PDF]
数ナビのグラフ機能を利用すれば、 点がグラフ上を指定されたように動くように 媒介変数表示の仕方を考えさせることにより、 このような関数に対する理解を深めさせることができます。 このプリントは、媒介変数表示についてある程度学んだ後で、 その復習をかねて課したものです。
ー一関高専の数ナビ教材,平成12年ー

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■ 微分法
漸化式と一般項のふるまい [PDF]
漸化式を作ったり、その振る舞いを調べたりすることで、 その規則性を見抜いて一般項を求める試みがなされています。
ーT3Japan第6回年会(東京大会),駒野誠(築波大学附属駒場校),平成14年ー

関数の極限値 [PDF]
数ナビのグラフ機能をフルに利用すれば、 関数の極限値についての理解を深めさせることができます。 このプリントは、 数ナビの利用法の練習を兼ねたものなので 記述があまりに説明的すぎますが、 数ナビの使い方に習熟している場合は、 学生に xを 0 や ∞ に近づけたときの f(x)/g(x) の極限値を、 f(x), g(x) のグラフをもとに考察させるとよいでしょう。
ー一関高専の数ナビ教材,平成12年ー

合成関数の微分公式 [PDF]
数ナビの数式処理機能を利用すれば、 合成関数の微分公式に気づかせることができます。 たとえば、(1) y=(2x+1)^3 を (2) y=u^3, (3) u=2x+1 に分解させ、 (2)(3)の導関数は自分で、 (1)の導関数は数ナビで求めさせて、 3つの導関数の間の関係を考察させます。 多くの学生が、積を取ればよいことに気づくでしょう。 3つに分解できるときも同じであることに気づいたある学生は、 自分の発見に「すごい!」と言ってほくそえんでいました。 ただし、問題[1][2]の(5)(6)は、 問題[3]の後でやらせた方がよいようです。
ー一関高専の数ナビ教材,平成12年ー

■ 積分法
和の極限としての定積分の定義 [PDF]
数ナビの数式処理機能を利用すれば、 定積分を和の極限として「まとも」に理解させ、 微積の基本定理まで発見させることが可能になります。 このプリントは、2時間連続授業で使用したもので、 問題[1]は復習としての内容。問題[3]がこの時間のメインです。 時間的にみて、問題[2]は省略した方がよいようです。 全般に、適宜、ヒントを与えることが必要です。 時間的にちょっと苦しかったものの、 1/4程度の学生が 「微分すると元に戻る」ことに気づきました。
ー一関高専の数ナビ教材,平成12年ー

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