グラフ電卓の活用Tips集

in [数ナビの部屋]

数式処理のできるグラフ電卓(数ナビ)を活用する上でのTipsをまとめました。

グラフ電卓を活用して数学ロードを駆け抜けよう!

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■ グラフ電卓(数ナビ)の活用Tips集  [Map]


[御案内] ここでは、 数ナビ(グラフ電卓)を活用した授業を行う上で生じると思われるいろいろな疑問や、 実際に授業をする上での留意点やコツのようなものをまとめました。 参考にしていだければ幸いです。
■数ナビを利用した授業をやってみたいのですが、 肝心の数ナビがありません。
数ナビを活用した日本の数学教育の最大の問題は、 この「数ナビを必要台数そろえられない」ことにあると思われます。 特に、中学・高校では、学校として非常に強い意志を持たなければ、 生徒に個人購入させることは難しいでしょう。

個人購入が難しいとなれば、学校側で用意するしかありません。 しかし、学校側で用意すると、 数ナビに関心を持った先生が転勤すると、 残された数ナビは宝の持ちぐされになりかねません。

したがって、公立学校の場合は、 教育センター等において数ナビを一括購入し、 それを希望する学校や先生方に貸与する形が 望ましいのではないかと思われます。

教育においてもIT社会に向けての対応が必要とされる中では、 パソコン購入は比較的予算が認められやすいように思います。 たとえば、 数学教育においてもテクノロジーの活用が必要という観点から、 教育センターに 数式処理ソフトをインストールしたパソコン室を作ることを考えた場合、 その設備にはどれだけの予算が必要となるでしょうか。

「パソコン+数式処理ソフト」の組み合わせは、 それが設置されている場所に行かないと利用できません。 使用時間も制限されます。 しかし、数ナビであれば、 ほとんど同じ機能を「いつでも」「どこでも」利用できるわけです。 そして、新なパソコン室を作る予算で、 数ナビは一体何台購入できるでしょうか。 その価値や教育効果について、よく考えていただきたいと思います。


■ 数ナビは教師所有の1台しかないのですが、授業で活用できるでしょうか?
数ナビの表示する画面をスクリーンに投影できれば、 1台だけでも十分な効果を上げることができるでしょう。 その場合は、特にグラフ機能の活用が有効と思われます。 いろいろな係数を変えるとグラフがどのように変化するかを、 生徒に問いかけながら実際のグラフを表示すれば、 それなりの効果があると思われます。関数グラフでの利用であれば、 グラフ描画ソフトをインストールしたパソコンを教室に 持ちこんでも同様の効果が期待できます。

数ナビにはプログラム機能があります。 ある程度の説明の流れをプログラミングしておけば、 さらに効果的かもしれません。 簡単なアニメーションも可能です。 通常の構造化言語のプログラムを組むことができる方であれば、 即座に数ナビのプログラムも作成可能でしょう。 そのプログラムでは数式処理機能も利用できるので、 通常の言語より強力な言語といえるでしょう。

ただし、教室でスクリーンに投影するには 投影スクリーンとプロジェクターが必要であり、 旧型の数ナビ(TI89, TI92, voyage200) の場合は、 プロジェクターと接続するためのインターフェースである 「TI-Presenter」が必要です。そして、数ナビは、 TI-Presenterとの接続コネクターのついた製品である必要があります。 TI-89やTI-83Plusでは、そのようなコネクターのあるものと 無いものとがあるので型番には注意してください。 TI-92Plusやvoyage200ではコネクターが標準でついています。

最新のTI-Nspireの場合は、本体と同じ機能を持つPCソフトウェアが標準で ついてくるので、それをパソコンにインストールします。 そして、パソコンとプロジェクターを繋ぐことで、PC上でNspireの キー操作と表示画面をエミュレートすることができます。


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■ 数ナビを利用した授業を試してみたいのですが、 1クラス分の数ナビをどこからか借りれないでしょうか?
TIとカシオのいずれにおいても、以前は1ヶ月の無償貸与制度がありましたが、 現在はそのようなサービスは行われていないようです。 ただ、教育センターなどの研修で使用する場合は短期の貸与が可能かも しれません。問い合わせてみてください。

■ 数式処理機能のないグラフ電卓しかないのですが、 数式処理機能はどうしても必要ですか?
グラフ機能や統計処理機能だけでも、 十分すぎるほど大きな効果が得られるでしょう。 アメリカでは、 数式処理機能を持たないTI-84Plusにおける実践が主流です。 ただし、数式処理機能があれば、 その活用の幅が大きく広がります。 特に、数学的な試行錯誤をさせるには、 やはり数式処理機能はあった方がよいでしょう。

■ パソコンの数式処理ソフトを利用しても、同じ効果が得られますか?
パソコンの数式処理ソフトとしては Mathematica Mapleが著名ですが、 教育用といえどもクラス全員分を揃えることは価格的に簡単ではありません。 また、パソコン使用の場合は、パソコンの前に座らないと利用できないので、 「いつでも・どこでも」利用できるわけではありません。 そもそも、学校にいないと利用できず、自宅で使うことができません。

一方、現在は、スマホをほぼ全員が所持しています。 そのスマホを利用させると、数式処理機能を無料で利用することができます。

一つの方法はMathematicaの販売元であるWolframが提供する WolframAlphaを利用することです。 Mathematicaのコマンドを無料で利用することができますが、 入力した式に関連したいろいろな出力結果が表示され、 出力内容が多すぎて次々に計算を進めていきたいときは使いにくいです。 また、ネット接続の状態でないと利用できません。

もう一つの方法は、スマホに「無料の」数式処理アプリをインストールすることです。 そのようなアプリとして「Maxima」があります。 Maximaは多数のOS(Unix, Windows, MacOS)に対応しており、 Android版もあります。残念ながら、現時点ではiOS版はありません。 スマホやタブレットにアプリ「Maxima on Android」をインストールしておけば、 「いつでも・どこでも」数式処理を利用することができます。 その数式処理機能は、MathematicaやMapleと同等といっても過言ではありません。 Maximaは、歴史的にはMathematicaやMapleよりも古い歴史を持つソフトなのです。

Maximaについては、「Maxima on Android」の 解説本を出版しました。関心を持たれた方はご利用ください。 コマンドはAndroid版もPC版も共通なので、iPhone所持の方は PC版Maximaのコマンドレファランスとして利用することができます。 ちょっとした計算の結果確認やグラフのチェックなどで、非常に重宝します。

いつでも・どこでも・スマホで数学!
PC・スマホに無料インストールできるMaximaの解説書です。
森北出版 amazon 楽天 honto 7net 紀伊國屋電子版

すべてのOS(Unix, Windows, MacOS, Android, iOS)に対応した無料の数式処理ソフトとしては「SageMath」があります。 その使用法を日本語で分かりやすく解説しているサイトはあまりありませんが、 数論や暗号理論等のパッケージも同包されているので、 本格的な数学研究で利用する場合には有用と思われます。 関心を持たれた方はSageの英文サイトを参照してください

このように、グラフ電卓を用意できないときは スマホを利用させることが一つの代替策です。 ただし、授業中に利用させることには問題があると思われるので、 自宅学習で利用させるのがよいでしょう。 Android系のスマホの場合は「Maxima on Android」を、 iPhone系のスマホの場合は「WolframAlpha」を利用させるとよいでしょう。 ただし、いずれの場合も、その使い方を解説した資料を用意する必要があります。

スマホがあれば数式処理を無料で利用することができますが、 実際には 電卓の操作性で数式処理を利用することができる「グラフ電卓」の方が使いやすいです。 理工系への進学や技術開発系に就職することが確実な場合は、 数式処理のできるグラフ電卓の購入が、 長期的にはベストの選択だと思います。


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■数ナビを初めて利用させるときは、 どのようなことに気をつければよいですか?
決して、生徒に何かをさせようとして「あせらないこと!」です。 最初の数時間は、数ナビで遊ばせるくらいの気持がよいでしょう。 利用しようとする教材の中では、 必要とする数ナビの機能は僅かです。 数ナビの説明は、その場面で必要な機能だけを説明すればよいでしょう。

数ナビの説明をする最初の時間は、 どのような画面が表示されるかを示すためにも、 できれば数ナビの画面をプロジェクターで 大写しにした方がよいでしょう。


■個人貸与すると、紛失や盗難の被害にあうことが心配です。
貸与する場合は、最初に借用書を書かせておくとよいでしょう。 高価であるために、 紛失すると大変だということを印象づけておくのがよいかもしれません。 本校の場合は、貸与・回収をすでに何度も繰り返していますが、 このような心配は杞憂におわっています。

ただし、紛失したり、借りたまま休学してしまったり等のことは、 ときどき無いわけではありません。台数が多いと、紛失しなくても、 使っている中で故障等のことがどうしても発生するので、 そのような場合もあり得ることを承知の上で貸与するしかないと 思われます。

■ 機械音痴の学生には、どのように対処すればよいですか。
コンピューターを苦手とする学生は、数ナビの操作にもとまどいを 感じるようです。アンケート調査では、これらの間には密接な関連性が あります。一見するとキー操作を行っているように見えても、 実は操作方法が分からずにキーを意味もなく叩いている場合もあるので、 事前にアンケート調査などを行って、そのような学生を 把握しておいた方がよいかもしれません。

下記は、数ナビの習熟度を4段階に区分し、コンピューター操作が得意か どうかとの関連性をみたものです。 コンピューター操作を「苦手」と感じる者は、数ナビ操作の習熟度も不良です。 数ナビを使用させる前に、 コンピュータ操作を苦手とする者を、ある程度把握しておいた方がよいと思います。


■数ナビを使うと、本当に数学の力がつくのですか?
これは、長期使用の効果を調べるしかありません。 海外の多数の実践結果では、このことは十分すぎるほど実証されています。 著者は同一クラスで複数年以上の実践を行うことはできなかったので 長期的な効果を証明することはできませんが、 学生の感想を見るかぎりは、教師側が想定した以上の効果を与えている ように感じられます。たとえば、下記の学生の感想をご覧ください。

■数ナビの操作方法がよく分かりません。
TI89Titanium については、販売代理店である「(株)ナオコ」の ホームページで詳しく解説されています。 voyage200も、ほぼ同様の操作方法になります。 ただし、voyage200は、現在は販売終了となっています。
 本サイトに、科研費を利用してTI89の操作方法を解説する マニュアル公開しているので、参考にしてください。 グラフアートの作成方法や、 データ収集器CBLとセンサーの利用法などについても解説しています。
 最新版の「TI-Nspire CX CAS」は、 カラーになってCPUの処理能力も大きく向上しました。 しかし、TI89やvoyage200の場合と違い、操作マニュアルが薄くて、 それを見ただけではよく分からないかもしれません。 詳しいマニュアルはTIのWebサイトからダウンロードすることになりますが、 当然ながら英文です。 その操作方法を解説するページも作成したので参考にしてください。
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